第14章 Choice
伊織をマイキーと共に家に送り届けてから、俺とマイキーはインパルスに乗って柴家へと走る
大寿と話し合ったことを柚葉に伝える為だ
「今日大寿と話し合った」
「……知ってるよ」
「…」
家から出てきた柚葉は、俺と目を合わせることなく小さく呟く
長い茶色の髪に隠れてあまりその表情は窺えない
「…大寿は金持ちと繋がって、トラブルの時に黒龍の兵隊を貸して、その見返りに大金をもらっていた。
その集金役が…アタシだった。」
「…」
実の妹にまでそんなことを…いや、妹だからこそ、か
金が絡む問題、そう易々と他人に請け負わせるようなリスキーなことはしたくないんだろう
淡々と話す柚葉
俺よりも低い位置からの目がやっと俺の目と合う
「今日アタシはその役から解放された。
アンタのおかげだよ、三ツ谷」
「…」
「なんだよ、その態度。
せっかく八戒が頑張ったのに…」
「頑張った!?アンタがそう仕向けたんでしょう!?」
「っ!」
柚葉のあまりの剣幕に思わずたじろぐ
柚葉はまた口を開きかけ、すぐに閉じ、さらに一歩下がると顔を歪ませて苦しげにぽつりぽつりと言葉を続けた
「…伊織も、アンタらの仲間だったんだってね。」
「伊織?」
「…東卍なんでしょ?あの子。
しかも幹部だって、今日大寿から聞いた。」
「待て柚葉…お前も伊織のこと…知ってたのか」
「…」
思わぬところから伊織の名前が出てきて思わず口を挟む
柚葉が伊織のことを知っているのは不思議じゃない
大寿と同じ家に住んでいたんだ、顔を合わせたことくらいあるだろう
だが…その親しげな口ぶり
とてもただの顔見知りや知り合い程度の仲ではない
柚葉とも何か関係が…?
マイキーもたい焼きを食べる手を止め、こちらをじっと見つめている