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ONE MORE CHANCE【東リべ】

第14章 Choice


「…わからねぇ」

「え?」

「確かにあの癖のある筆記体は伊織の字だ。
読み慣れてないやつならなんて書いてあるかもわからねぇ。
だが…俺も全く読めなかった。」

「それって…」

「どういうことですか?」





確かに、場地くんと入院している間に見たノートにあんな筆記体の字が書いてあった
メモのときに使う走り書きのような書き方
ちゃんと千冬や場地くんに教えるときは普通の字を書いていた

そして筆記体の文字を普通に読めていたのが三ツ谷くんだった
ドラケンくんやマイキーくんも…スラスラとまではいかないけど、なんとなくわかっている風だった
その三ツ谷くんが読めないなんて…






「…アルファベットの並びだけはわかるんだ。」

「つまり…?」

「アレは…英語じゃねえ」

「は!?」

「えっ…タカちゃん、伊織さんって英語以外も喋れるの!?」

「俺も初耳だ。」





…確かに、日本で育った普通の中学生が英語以外の多言語を扱えるなんて…普通は考えられない
でも伊織さんなら…医者であり、留学経験のある伊織さんなら或いは…

俺と千冬はそう考えて小さく頷き合う

でも、そんなことは正直どうでもいい
問題なのは…






「アイツ…そんな言語使って大寿と一体何をやってたんだ…?」






その通りだ

2人の間で何が行われていたのか検討もつかない
きっと本人達にしかわからないのだろう






「…とにかく、俺はこのまま伊織のところに行って話を聞いてくる。
お前らは帰れ。
ここからは俺たちの問題だ。」

「はい…」

「それから…八戒!」





三ツ谷くんは首だけ後ろへ回して八戒を見つめる





「どんなに苦しくても、力は守るために使えよ。
…生まれた環境を憎むな。」

「っ!」

「伊織のことは何も心配すんな!
俺らがなんとかすっから、お前はお前のやるべきことをやれ。
…大丈夫。お前ならできる。」

「タカちゃん…ありがとう…っ!」






八戒は瞳に涙を浮かべ、その様子をを兄のような表情で見つめた三ツ谷くんは優しく微笑んだ

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