第14章 Choice
「…初めましてだね、大寿くん」
「テメェがウチの弟たぶらかしてる三ツ谷か!」
「随分な言い方っすね」
「殺すゾテメェ…」
ゴクリ、と、思わず固唾を飲む
にこやかに話す三ツ谷くんに対し、大寿は威圧感が半端ない
そしてその後ろに控える2人の…幹部、だろうか…
その2人の纏う雰囲気も普通じゃない
「で?話ってなんだよ?手短に言えよ…?」
「八戒は黒龍に渡す。
金輪際関わらねえ」
「?」
「えっ!?三ツ谷くん!?
それ話違うくないスか!!?」
「ハハ、面白えな。
それを止めに来たんじゃねぇのか!?」
「その代わり、柚葉を解放しろ」
「!!」
「え!?」
「あ?」
八戒を渡して柚葉を解放って…どう言うことだ…?
「タカちゃん…なんでソレを…?」
「大寿くん…柚葉に何かさせてんな?」
「…」
「八戒はずっと柚葉を守ってきた。」
「え?」
「兄貴のDVからな」
「…面白い冗談だ」
柚葉の名前が出てきて大寿の顔が一瞬歪んだが、少しすると再び余裕な笑みを浮かべる
「八戒はアンタにビビって東卍を抜けるんじゃねぇよ。
柚葉を守るためだ!!」
…!そういうことだったのか…!!
だから伊織さんは八戒の東卍離脱を止めなかった…!
ブワッ!
ドッ!!
「っ!」
「タカちゃん!!」
大寿が思い切り三ツ谷くんに向けて拳を振り抜く
…今モロに…!!
「騒ぐな…」
「…へぇ、やるな」
「…もう一度言う!
八戒は黒龍に譲る。柚葉は解放しろ!」
三ツ谷くんは大寿の拳を真正面から受けた腕を下ろすと、立ち上がりながらそう言う
「断ったら?」
「全面戦争だ」
「…いーねぇ、、、和平成立だ。」
「…」
「…ま、俺はDVなんてしてねえけどよ、約束してやる。
2度と柚葉には手を出さねえ。」
三ツ谷くんと大寿の間で結ばれた握手
その手を大寿が離すと、徐に後ろに控える火傷野郎から数枚の紙の束を受け取り、それを机の上にばら撒いた