第14章 Choice
伊織さんと千冬の話をした2日後
結局あの日から伊織さんと話す機会もなく幹部会の日がやってきた
「入れ!タケミっち!八戒…」
「…」
『…』
そうマイキーくんに呼ばれて、八戒と共にフロアに入る
ドラケンくんの寄りかかる鉄骨の上に座る伊織さん
チラリと視線を向けると、それを受け流すようにそっと逸らされる
…怒ってる、よな、、、
「みんなも知ってる通り、4日前、タケミっちが黒龍のアタマにボコられた。」
「!」
ドラケンくんの声に一度意識をこちらに戻す
…今は伊織さんのことは一旦別だ
とにかく…この幹部会へ向けて千冬と色々考えた
まずはできることを精一杯やるんだ…!
「タケミっちが壱番隊隊長代理と知ってての暴挙
つまりこれは…黒龍の宣戦布告だ。」
「ナメやがって…やっちまおうぜ!」
「黒龍なんて一回潰したチームだ
余裕だろ?」
「潰したのは九代目
十代目は別物だ」
「…」
「黒龍とかめんどくせ」
「やるしかないだろ」
幹部達が口々にそう呟く
でも…心なしか隣に立つ八戒がソワソワしているような気がする…
地面を見つめ、時折前方を窺うように一瞬だけ視線をあげ、そしてまた下げる
チラリと視線を向ける先は…伊織さん?
「大体よぉー!!
タケミっちは黒龍のシマわかんなくてしょうがねぇとして…テメーはなんで黒龍のシマにタケミっち連れてくんだよ!?」
「オイ八戒!!」
「!」
八戒は弾かれるように顔を上げると、先程のオドオドとした様子から一変、覚悟を決めたような目を伍番隊隊長へと向ける
「テメェ、黒龍の回し者なんじゃねぇのか!?コノヤロウ」
「アタマの弟だしなぁ?」
「それを隠してやがったしなぁ?
…だが…三ツ谷!それから高宮!!テメェらは知ってたんだろう?」
「っ!」
「…」
『…』
伊織さん…やっぱり知ってたんだ…
伊織さんも三ツ谷くんも眉ひとつ動かさずに無言を貫く
無言…つまり肯定の意だ
八戒は一瞬焦ったような表情を浮かべて伊織さんの方を見、そして目を閉じた