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ONE MORE CHANCE【東リべ】

第14章 Choice


何度思い出しても溜息しか出ない

いつも身体を張って真正面からぶつかる彼の姿
真正面からぶつかる故に起こった千冬くんの件

…もっと緻密に話していればこんなことには…




「伊織?」

『っ、』

「どうかしたか?」

『ううん、なんでもない』




圭くんと万次郎が私の顔を覗き込む
…一旦タケミっちと千冬くんのことは別だ

まずはこの幹部会、八戒くんと黒龍について真剣に考えないと





「ま、八戒のことは三ツ谷が1番わかってるだろうからな。
アイツなら大丈夫だろ。」

『そうね。
たかちゃんと八戒くん、本当の兄弟みたいだし。』

「…ただ、三ツ谷は少し溜め込みやすいところあるからな…
そこは俺らも少し気にしといてやるか。」

「そうだな」

『なら今回は私たちはたかちゃんのバックアップ、それだけに徹しましょう。』

「おう!」





キィ…





『!』

「!」

「お、来た来た」

「…お疲れ様です。
早いですね。皆さん。」





少し錆びた音を鳴らしながら開く扉
そこから入ってきたのは小柄な男と大柄な男の2人組
万次郎の姿を視界に入れると、嫌味なくらいの完璧な角度で腰を折る





「稀咲…」

『…』





圭くんが隣にいる私にも聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でそう呟く
その手はギュッと握られて小さく震えている

私は自分の姿でその手を隠しながらそっと触れた
ピクリと彼が肩を震わせたのが振り返らなくてもわかる





「…」

『…』





ゆっくりと顔を上げた稀咲と私の視線がぶつかる
私は敢えて和やかに笑いかけてすぐに逸らし、万次郎の手を取った





『万次郎、そろそろ座らない?』

「ん?そうだな」

『はい、これ。』

「お、サンキュー」




いつも幹部会の時は側に置いている脇息を手渡しながらそう声を掛ける

…万次郎は堕とさせない

お前には触れさせない

そう牽制するかのように横目でスッと稀咲を見た
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