第14章 Choice
『…何も背負う必要のない子にね、、、大きな秘密を背負わせてしまったの』
「秘密…?」
『うん。
…誰にも打ち明けられないような秘密。
ちょっとしたトラブルというか…まぁ色々あって知られちゃって…
その子はとても素直で優しい子だから、秘密が漏れるとか、そんな心配はしてない。
だけど、、、良い子だからこそ、そんなものを背負わせてしまったっていう気持ちが大きくて…』
「…」
『人の記憶は消すことができないからさ、
一度知ってしまったこと、見てしまったこと、聞いてしまったこと…自分の意思に関係なく、取り入れてしまった情報はしっかりと記憶に刻まれる。
…インパクトが大きければ尚更、ね。』
「っ、おまっ、、なんか思い出したのか?」
『え?私?
なんのこと?』
「いや…やっぱなんもねえ」
『?』
何故か少しの焦りを見せる圭くん
彼の様子に疑問を抱きながらも、私は脳裏から離れない記憶が無意識のうちに再生される
忘れたいと思うほど頭にこびりつき、覚えていたいと思うものほど薄れていく
…なんでなんだろうな、、、
─ …お前は…お前だけは、生き延びろよ
お前に助けられた命、お前の為に使うんだ。…悔いはねぇ!
『…』
「…」
目の前の大きな背中に手のひらを当てて目を閉じる
…思い出したくなんかないのに、あの時の光景、感触、感情、全てが鮮明に思い出される
だけど、決して目を逸らすことは許されない
嫌な音を立てはじめる心臓を押さえ込むように無理やり肺に冷たい空気を入れる
と、目の前の背中が少しだけ動いた
「…その秘密ってよぉ」
『うん、』
「…お前は、、、辛くねーのか?」
『私?』
「いや、お前が一体誰に対してんな風に考えてんのかは知らねーけど…その言い方ならお前もその秘密っての抱えてるってことだろ?
だからお前は大丈夫なんかなって、」
圭くんはそう言いながら首だけ回して私を見下ろす
まさか私のことを聞かれるとは思わなくて思わず目をパチパチと瞬かせる
『私は…』
「…」
『…』
…そういえば…そんなこと考えたことなかったな