第14章 Choice
「お!1番だナ!!」
『まぁ…30分前だしね』
廃ビルの3階
剥き出しの鉄骨やコンクリートが並ぶ中、スクラップ場から運んできたソファや机、そして幹部達が勝手に揃えた将棋盤などの数々のボードゲームたち
私は自分で持ってきたはずのものをキョロキョロと探す
そしてすっかり隅の方に追いやられている箱の中から目当てのものを探し出すと、少しくたびれた椅子で寛いでいる圭くんの元へと歩み寄った
『圭くん、ちょっといい?』
「んぁ?」
『一旦立って…今から言う動きやってみてくれる?』
「?」
さっきの喧嘩での圭くん
…私の想像以上に動けていた
喧嘩はできないと言いつつも、雑魚数人なら余裕な感じ
でも…私の記憶にある未来の圭くんはこんなに動けてなかった筈だ
日常生活においても、ふとした瞬間に痛むようで偶に顔を歪めていた
そのギャップがどうにも気になって、圭くんに少しずつ体を動かして見せてもらった
『うーん…やっぱり結構関節も広く動くし…体も全く捻れないわけでもないのね』
「まぁな!」
『痛みとか違和感とかは?』
「痛くはねーけどやっぱ変な感じはするな、
ここんとこはこれ以上伸びねえし」
『…右側どれくらい伸びる?』
「こんくらい!」
そんな会話をしながら腰から体を伸ばす圭くん
…さっきの動きと今の様子を見る限り、断裂している筋組織はそう多くはない
現段階では痛みも無く、関節の可動域も狭くはない
ってことは…未来の圭くんの身体がやたら動かなかったのは、あの怪我だけが原因とは考えにくい…
…きっと私が留学してる間、動かないところを無理に動かしたりして負担をかけすぎたんだろう