第14章 Choice
「なぁ」
『ん?』
「お前…なんかあったろ」
『鋭いね〜相変わらず』
「茶化すな」
『茶化してないよ。褒めてんの。』
ふふふ、と、そう笑って白い息を吐きながら、圭くんの少し先を歩く
…顔を見なくてもわかる
きっと納得のいかない顔で私の背中をじとりと見つめているんだろう
「…なんかあったなら…溜め込む前に誰かに話せよ。」
『…ありがとう』
千冬くんのこと…
…きっと圭くんは私の何倍も彼のことを理解してる
少しだけ、話を聞いてみてもいいのかな、、、
「オイ」
「あ?」
『?』
いざ口を開こうとした時、圭くんのものではない声が後ろから聞こえた
私も圭くんもその声の方を振り返る
『…誰?』
見覚えない顔
加えて私に向けられる明らかな敵意
…これは、、、
「お前、マイキーの女だろ?」
『…別に、違うけど』
「嘘つけ。ハロウィンの日にこっちはお前のこと見てんだよ。
高宮伊織。」
「…」
「ちょっと俺たちと一緒に来てもらおうか」
『…』
1、2、3…6人か
…これくらいならイケるな
でもその前に…
『それより、私は貴方達に誰って聞いてるの。
人に色々言う前にまず自分が名乗れば?人としての礼儀でしょう?』
「あ?」
「テメェ…女の癖に俺らと対等に扱えってか?」
ニヤニヤと笑いながら近づいてくる男たち
…どっかのチームの下っ端だろう
全く顔を見てもわからない
早めに出たし、幹部会に遅れることはないからいいか
そう思いながら一歩前に踏み出そうとすると、ぐっと腕を掴まれた
「伊織、下がれ。俺がやる。」
『…は?』
「こんな雑魚くらいなら余裕ダワ」
『いや、でも…』
「いいから!
俺はお前のことマイキーから預かったんだよ。」
圭くんはそう言い、私を背に隠すように前に出る
そんな…怪我の影響で前のように身体は動かないはず…
「テメェら…女1人に男6人がかりはダサすぎね?」
「あぁ!?」
「しかもマイキーの女だからって襲うとか、ハナから負け認めてんのと同じじゃねーか
ちゃんとタマついてんのか?」
「なんだとコラ!!!」
「ぶっ殺すぞ!!」
「やってみろよっ!!」
『あっ!ちょっ!!』
ボゴッ!!