第14章 Choice
伊織さんが帰った後、俺とタケミっちは朝の寒い公園に2人で座っていた
まるでここだけが世界から切り取られたように静かで、互いに言葉を発しようとはしない
─千冬くんはこれから12年間!!私たちが帰った後もずっと!その秘密を抱えながら生きていかなきゃいけないのよ!!?
─本当に…なんてことを……っ!
…伊織さんの言葉が耳に残って離れない
正直、未来がどうとかってあんまり考えられてなかった
タケミっちが嘘を言っているとか、信じられないとか…そう言う意味じゃなくて…
やっぱりどこか現実的に受け止めきれなくて、何処か他人事だと思っている自分がいた
嗚呼、でも…
本当に2人は未来から来たんだ…
それだけが俺の頭の中にしっかりと植え付けられた
「…千冬、本当に…ごめん
伊織さんの言う通りだ…俺…無責任すぎだよな…」
「相棒…謝んなって言っただろ…?」
「でも…やっぱり伊織さんの言う通りだよ。
あの人が正しい。
…12年は、途方もない時間だ。それは俺にもわかる。」
「…」
タケミっちはそう言って力なく手を握る
…こんな奴でもやっぱり、26年生きてきた大人なんだ
俺なんかより時間の長さの理解、人生経験、知識、、、全てが上回る
…そう言われると俺は確かに何も言えない
でも…
「…伊織さんは確かに正しい。
いつもだ。あの人は間違わない。」
「…」
「これまでの東卍のことだって、未来の伊織さんじゃなくたってそうだ。
あの人は今でも未来でも、絶対に間違わないんだ。
いつでも正解を正確に選び取る力がある。」
「…」
─万次郎、落ち着いて。
焦ってたら見えるものも見えなくなるわ。
─圭くん!また無茶したでしょ!?何回目よ!!
─けんちゃん、たかちゃん、次のチームは手強いから気をつけてね?
絶対無理はしないこと!
─君が千冬くんか!圭くんのことよろしくね!
圭くんすぐ突っ走っちゃうから…
─じゃあ今回は壱番隊が特攻!
任せたよ!
─パーちゃん!参番隊荒れてる!!ちゃんとみてあげて!
幹部会での的確な采配
そして東卍全体を客観的に見て出されるアドバイス
…彼女のやることなすこと全てが完璧だったのを思い出す
でも…