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ONE MORE CHANCE【東リべ】

第14章 Choice


「…伊織さん、」

『っ!千冬…くん…』

「千冬…」





そうだ…今の全部コイツも聞いて……

自分の行動に本当に嫌気が刺す
全部…全部俺のせいだ
いつも俺は余計なことばかり…

2人の顔が見れない…





「…俺は大丈夫ですよ。」

『っ!』

「それに…伊織さんなんか何回も辛い歴史を味わってるんですよね?
伊織さんは記憶は残ってるってタケミっちから聞きましたし…
それに比べたら全然苦しくもなんともないです」




千冬は伊織さんにそう言う
伊織さんはその言葉に小さく息を呑むと、絞り出すように口を開いた





『…そんな…私は自分で選んでやってる。
それに、、私は27だし…千冬くんはまだ14なのよ…?
一緒になんかできない…
…なにより…君は12年という歳月を舐めてる。
12年って長いよ…?たった1人で秘密を抱えるのは苦しいよ…?』

「ハハッ…確かに。
12年なんて想像もつきません。」

『…』





そう言いながらカラリと笑う千冬
…そんな風に笑うなよ…


俺はちゃんと見えてた

伊織さんの背中越しに、伊織さんの言葉にショックを受けた千冬の表情…
…ちゃんと見えてた

千冬だってそんなことは全く考えていなかった
だからこそあの瞬間、感情を隠しきれなかったんだ





「千冬…俺…「謝んなよ。相棒」

「え?」

「お前は悪くねーよ。
俺は話してくれて嬉しかった。
例えそれで俺が12年間苦しんだとしても、俺は今お前がお前の口から話してくれたことが何よりも嬉しかった!」

『千冬くん…』

「だから良いんです!
とりあえずは稀咲と黒龍!まずはコイツらをどうにかしないとですよ!」





千冬は明るくそう言って両手を広げた
伊織さんはまたひどく悲しそうな顔をすると、その表情を隠すように俯いた





『…ごめん、今日は帰る。
今は冷静に話を聞けない。』

「はい…本当にすみません」

『…千冬くん』

「はい」

『…ごめん。』





伊織さんはそれだけ言うと、一度も振り返ることなく、俯いたまま公園から出て行った
来た時よりも数倍心も身体も冷たく冷めきっていたけれど、その痛みすら今の俺は感じられなかった
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