第14章 Choice
次の日、伊織さんと連絡を取って待ち合わせる
千冬に話したことを言っておかないと…
未来でタイムリープのことを知っている千冬
そして2年間伊織さんのことを守っていた千冬
コイツなら、伊織さんだってわかってくれるだろう
「ていうか…伊織さん未来じゃ医者なのか〜
やっぱ違ぇな…あの人は…」
「しかも相当な名医らしい。
いろんな所から引っ張りだこって言ってた。」
「マジか…」
「あ、千冬はまだそこにいろよ。
まず俺から伊織さんに話すから!」
「ん、わかった」
まだ約束の時間の15分前
快晴の空の下、吹き付ける風は凍てつくほど冷たいけれど、昨日から俺の胸はぽかぽかと暖かくて心地がいい
『お待たせ!待った?』
「いえ!俺が早すぎただけなんで気にしないで下さい!!」
『本当?それならよかった。
…だいぶ腫れ引いたね…痛むところはない?』
「まぁ多少は痛いですけど…平気っス!!
手当てありがとうございました!」
『ううん。これくらい気にしないで。
もし少しでも変だと思ったら病院行くのよ?』
「はい!」
そう言いながら俺の傷を診ていく伊織さん
…その目は医者そのもので、こちら側も背筋が伸びる
『で、話っていうのは昨日のこと?』
「ああ、それもなんですけど…
タイムリープの方の方がメインっていうか…」
『ゆっくりでいいよ。ちゃんと全部聞くから。』
「はい。」
俺はゆっくり大きく息を吸うと、気合を入れるようにそれを吐き出す
「あの!俺…タイムリープのこと、千冬に話しました。」
『…は?』
「そしたら千冬の奴、ちゃんと信じてくれて…その上で力を貸してくれるって言ってくれて…『待って。』
「え、」
『…今、なんて言った?』
「千冬にタイムリープのこと話たって…っ!!」
ガシャン!!!!
「!?」
なんだ!?
『っ!何考えてるのよ…!!』
「!」
気がつくと俺は伊織さんから胸ぐらを掴まれて公園のフェンスに押しつけられていた
そして俺を見上げる伊織さんの表情は、言葉では形容し難いほどに傷つき、今にも泣きそうな、そんな表情だった