第14章 Choice
タイムリープのことは誰にも話さない
伊織さんと言葉にしてそう約束した訳じゃ無いけど、暗黙の了解として自分自身でも誓っていた
未来にどんな影響を及ぼすか分からないから
でもコイツなら…
未来で俺のために死んでくれて、伊織さんのことを守り抜いてきたコイツなら…!!
…心が緩んじまった
「…これが、俺と伊織さんがしてきたことの全部だ」
「…俺も場地さんも稀咲に殺される?」
千冬は困惑したように視線を地面に落とす
…言っちまった
全部…ぶちまけちまった…
これって…まずいよな
頭から冷水をぶっかけられたように急激に頭が冷えていく
…俺だけの問題じゃないのに…!
「…オレ、死ぬんだな」
「あ、なんちゃって…冗談だよ!冗談!!アハハ!本気になってないよなーまさか!」
俺の渇いた笑い声だけが夜空に舞う
…居た堪れなくなって、顔を下に下げる
「…なんとなく、気づいてた」
「…え?」
コイツ…何言って…
「考えてみりゃあオマエは変なとこ多いし、偶に雰囲気違う時あったし…
伊織さんに至っては場地さんの治療とか…流石にガキにしては超人すぎるし…」
「えっと…それは…」
「それに、お前は芭流覇羅の決戦前、場地さんに【どうか死なないで】って、そう言ってた」
「っ!」
「離れてたから何を話してたかは詳しくは知らないけど…確かにそう言った。
伊織さんも抗争にわざわざ出てくるなんて…しかもマイキーくん達に黙って…そんなこと今までしたことなかった。」
「…」
「オマエと伊織さんは場地さんが死ぬことを知ってたんだな。
だからあんなに必死だった!」
「…ああ
…場地くんが死ぬのも、ドラケンくんが死ぬのも知ってた。
それなのに…俺はいつも何もできなかった。
いつも伊織さんに助けられてきた。
俺があの時ちゃんとしてたら場地くんの身体も後遺症とか残らなかったかもしれないのに…」
何度思い出しても悔やみきれない
…俺は馬鹿だ
よりによって誰より場地くんを慕う千冬に実は知ってましたなんて…
何言ってんだ…本当に…
殴られる覚悟でぎゅっと目を瞑る