第14章 Choice
『そんな顔しないで!』
「え?」
『大丈夫!
みんなのことは私が守るから!』
「伊織さん?」
「あ?」
急に声を上げて立ち上がった私をみんなは不思議そうに見上げる
…私は彼らにニコリと笑みを浮かべると、さらに続ける
『東卍は負けないわ。
確かに黒龍は強いかもしれないけど…私たちは負けない。
タケミっちのこともこのまま終わらせるつもりもない。
だから心配しないで!』
「伊織さん…」
『みんなは今はそんな難しいこと考えないで、タケミっちを支えてあげて?
まだまだ幹部になって間もないし、不安でいっぱいだろうから。
黒龍とかのことは私に任せて!』
私がそう言うと、みんなは顔を見合わせて少しだけ表情を緩めた
圭くんだけは眉を顰めたままだったけど、千冬くんや残りの子達は優しい瞳でタケミっちを見つめていた
「はい!タケミチのことは俺らに任せてください!!」
『ええ。
頼りにしてるわ。新生壱番隊』
「「「はい!!」」」
『…じゃあ、手当も済んだし、、、私はそろそろ帰ろうかな…』
「んじゃ俺も帰るワ。
送る」
『ありがとう。
じゃあみんなまたね。』
「「「おやすみなさい!」」」
『おやすみ〜』
パタン
タケミっちの家から出ると、暖かな空気から抜け出して一気に冷たい風が吹き抜ける
ふるりと身震いしてポケットに手を突っ込むと、圭くんと2人で並んで歩く
「お前さー」
『ん?』
「あんま人に守るとか言うんじゃねーよ」
『なんで?』
「んなことしたらお前…マジでいつか死ぬぞ。」
真剣な眼差しで私を見下ろす圭くん
…思わずクスリと笑ってしまう
『圭くんにだけは言われたくないセリフね。
この前死にかけたのどこの誰よ』
「あ?お前もだろーが
それに…お前は俺らとは違ってジョーブじゃねえんだから…
あんま色々抱えようとすんな。」
圭くんはそう言いながら鼻を啜る
…心配、してくれてるんだ
口は悪いし歩幅は大きいままだし、気遣いの欠片もないけれど、だからこそ言葉から滲み出る彼の優しさに胸が熱くなる