第14章 Choice
『千冬くん!』
「伊織さんに…場地さんも…!!」
「あーあーあー…またこっ酷くやられたなぁコイツ」
『何があったの?』
夜の帳が下りる時刻
私たちにとってはまだ早い時間だけど、連絡のあった公園を照らす街灯に頼らないといけないほどの暗い中、ベンチに寝かされたタケミっちは手ひどく殴られたような顔をしていた
20分ほど前だろうか…
家でご飯を食べていると、携帯に圭くんから連絡があった
【タケミチが怪我したらしい】【迎えに行くから診てやってくれ】
その二言で電話を切られ、5分もせずに圭くんはウチに来た
一応万次郎にその旨を伝えると、圭くんと離れないことを条件に外出は許された訳だが…
…今日はタケミっちはヒナちゃんとボウリングデートの筈だ
何かあったらこうなるのか…
「…それが…八戒から連絡受けて、駆けつけたらタケミっちがいて…
黒龍にボコられたって八戒は言ってました。」
「黒龍?」
『…そう…
とにかく、一旦タケミっちを家に送りましょう。』
「はい。
俺壱番隊の奴にも連絡入れてきます。」
『うん。』
「じゃー俺がコイツ背負うワ」
『大丈夫?圭くん…』
「お前な…流石に舐めんなよ。コイツくらい背負えるわ!」
圭くんは笑いながらタケミっちを背負うと、千冬くんの案内の元彼の家へと歩く
…八戒くんはヒナちゃんを送って行ったらしい
こんな時間に1人では返せないからって…
…女の子苦手な筈なのに、それなりに責任を感じているのだろう
「はっかい…」
「あ?起きた?コイツ」
「ごめん…な…」
『タケミっち?』
「ヒナ…お、はだいじよ、ぶ」
『…譫言みたいね。』
「…」
うっすらと目を開けたかと思えば、再びカクリと首をもたれる
「あ…ココっす、コイツん家」
「おー」
「タケミチ!!」
『あら?』
私たちが玄関先に到着すると、何処かで見覚えのある4人
…この子達…確か喧嘩賭博の時の…
「タケミチ!大丈夫か!?」
「隊長!あとは俺らが運びます!!」
「んあ?じゃー任せたワ」
「っす!」
そう言って赤い髪の彼がタケミっちを受け取る
…連絡したのはほんのさっきなのに…
すぐにこうやって集まる仲間がいる
タケミっちの人望の厚さを感じた瞬間だった