第14章 Choice
…あ、でも弍番隊ってことは…
「隊長の三ツ谷くんと仲いいんですか?」
「腐れ縁だよ…てかさ、タメなんだから敬語やめろよ」
「え!?その見た目で!!?俺とタメ!?」
「ハハッ、ひでぇな」
また新たな新情報だ…
ってことは、姉の柚葉は伊織さんやマイキーくん達と同じ学年ってことか…
「コイツにとって三ツ谷は兄貴分だ。」
柚葉の言葉にハッと意識を切り替える
「タカちゃんはさ、目の上のタンコブだよ。
不良のカッコ良さもカッコ悪さも叩き込まれた。
うっせぇだろ?あの人
…本当の兄貴みてぇな人だ。」
「へぇ」
そう言いながら笑みを浮かべる八戒
…どれだけコイツの中で三ツ谷くんの存在が大きいのか、その表情を見るだけで伝わってくる
「コイツの三ツ谷愛は異常だ。
見ろ、コイツの携帯」
「柚葉テメッ!!いつの間に!?」
「待ち受けが三ツ谷だ!」
八戒が止めるのも構わずに俺にそう言って携帯の画面を見せてくる柚葉
…前言撤回
八戒の中で三ツ谷くんが大きいのはなんとなく伝わったけど…ここまで来ると確かにヤベェ
「私のは八戒なのに!」
柚葉はそう言いながらエフェクトがかかった八戒の写真の待ち受け画面を見せてくる
…もっとヤベェ
…まぁでも…
八戒の三ツ谷くんへの尊敬の念が強すぎるにしても、2人が並んでる姿を想像するとすごく様になる
…似合うな…
八戒の話を聞いていると、弍番隊の隊長と副隊長の間にも千冬と場地くんのような見えない固い絆があるんだと容易に想像がつく
…それなのに未来では2人は決別してる
ここまで想っているにも関わらず、だ。
12年で一体何があったんだ…?
もしかして三ツ谷くんとの関係悪化が原因?
それならそれを止めたら八戒はあんな未来を辿ることはなくなって、黒龍と東卍は一緒にならない…?
そしたら東卍の巨悪化を防ぐことに繋がるんじゃ無いか…
ブロロロロ…
「八戒、まずい」
「っ、」
「ん?」
そんな思考を巡らせていると、柚葉と八戒が足を止めていた
…これは…バイクの排気音…
「兄貴が帰ってる」
柚葉の固い声が鼓膜を揺らした