第14章 Choice
─当時の十一代目黒龍総長は柴八戒。
噂では金の為に先代を殺して黒龍を乗っ取ったクソヤローだって話だ。
一虎くんとの話とは全く違うし、俺の見た感じの印象とも伊織さんの話がかけ離れすぎていて、何が何だかわからない
「ま!いいや!!
俺ら今日から兄弟分な!タケミっち!
今から家来いよ!」
「は…はい…」
…少なくとも今現在、悪い奴ではない…のか???
「お前とソイツが兄弟分なら、姉のあたしの弟分になるな」
「え!?姉弟なの!?」
「へー、似てないですね」
柴八戒と一緒にいた茶髪でキリリとした女の人はそう言いながら振りかえる
聞けば、ひとつ上の姉で名前は柚葉というらしい
「オマエはなんでケンカ弱そうなのに東卍の幹部張ってんだ?」
「うっ…」
「どう見たって八戒の方が上に立つ器なのに、コイツにはその気がまったく無い。」
「確かに!柴くん強そう!」
「ヒナ!?」
「…」
ヒナが八戒を褒めたことで思わず声を上げてしまう
…やっぱり喧嘩強い方がかっこいいよな…
「…」
「…?」
…ん?この間はなんだ…?
「上に立つとか考えただけでメンドくせぇじゃん?
俺は自由が好きなんだよ!」
一時の変な沈黙の後、柴八戒はそう笑いながら答える
へぇ…なんかコイツ…良い奴っぽい…
伊織さんのプラスのイメージに近づいてきた
「カッコいいね!柴くん」
「…」
「?」
さっきからヒナの言葉に全く返事をしないコイツ
…?
聞こえてる…よな??ヒナの声…
「あー、ヒナちゃん気ぃ悪くしないで。
弟は異常な奥手でな…」
「え?」
「アタシ以外の女子に話しかけられるとフリーズしちまうんだ」
「ん?」
「気にしないで」
「…」
柚葉さんが八戒の身体を突くとやっと声を返してくる
…その図体でまさかのポンコツ…
奥手どころの話じゃねーだろ…
…で、コイツは今現在東卍の弍番隊副隊長で、未来では元黒龍で金の為に人殺してて、今はそんなに悪い奴ではなさそうで、女に耐性ゼロのポンコツで、、、
…ダメだ
情報が錯綜してて頭がおかしくなりそうだ