第14章 Choice
カァァァァン!!!
「すごい!タケミチくん!!ターキーだよ!」
「…まぁこれくらい普通だよ…」
ヒナの声を聞いて顔が緩む
それを必死に堪えて、なんてことのないような表情を取り繕いベンチに戻る
ボウリング…
そう、それは俺の数少ない…いや、俺の唯一の特技であり、唯一人に誇れるスポーツだ
ヒナとのデートにここを選んだ理由はただひとつ
カッコいいところを見せたい!!!!
…それに限る
ヒナのハイタッチに応えたあと、彼女の投げる後ろ姿を眺める
「えいっ!…あ、またガータだ…」
…かわいい。
残念そうな顔をして、笑いながらヒナが戻る
…もう俺の番か…
「…見てろよ…ヒナ」
そうだ
今日の俺は一味違うんだ…!
いつもの泣き虫で弱虫な俺じゃない!!!
「俺の…フォースを!!」
俺は指先まで神経を張り巡らせ、ピンだけを見つめてボールから手を離した
カァァァァン!
カァァァァン!!
「!?」
「お、なんか揃った」
隣もストライクだと…!
「息ピッタリだな」
「ウケる」
「デカっ!?」
反射的に声が出てしまう
ドラケンくん並みの身長、口元の傷
…コイツ不良だな、絶対
…いや、待てよ…コイツ…どっかで見たことあるような…
「あれ!?どっかで見たことあると思ったら…!
花垣タケミチか!!」
「へ?」
「なんだよ…隊長代理になって良い気になってない?
弍番隊副隊長、柴八戒だ。」
「え!!?」
弍番隊副隊長って…いや待てよ…コイツ柴って…!
─ごちゃごちゃうっせーのぉ…古参はよぉ…
未来の…!元黒龍の奴じゃん!!!
「ん?どうした?
お前のことは隊長からよく聞くぜー」
なんで黒龍が東卍の副隊長に…!?
…どういうことだ…?
伊織さんはそんなこと一言も…
─彼はそんな子じゃない。
見栄っ張りで、弱虫で、どこか女々しいけど、人を想う心を持った優しい子。
言ってたな…
東卍に居たのは知らなかったけど…少なくともコイツは伊織さんとは面識があるってことか…
でも…