第14章 Choice
って意気込んだのはいいものの…
ため息をついてスクールバッグの中身を漁り、お目当ての財布を手に持つ
そして今日は水筒を忘れたので自販機で何か買おうと腰を上げると…
「どこ行くの?」
『自販機。水筒忘れちゃって…』
「じゃあ俺も着いていく」
『ありがとう…?』
それから次は学校の昼休み、何気なくトイレに行こうとすると…
「伊織?」
『あー…ちょっとトイレ行ってくる』
「じゃーついでに俺も〜
前で待ってるから」
『いや、先帰ってて』
「やだ」
『…』
今までも割と一緒にいることが多かった私たち
だけど…
『なんなの?アレ』
思わずそう口に出さずにはいられない
「大変だな、お前も」
私の隣に座っていたけんちゃんが呆れたようにそう言いながら笑う
『同情してないでどうにかしてよ…』
「俺には無理だ。諦めろ。」
『この前なんか体育の着替えの時もついて来たのよ?
更衣室の前で座ってて…5分も経ってないのにまだかまだかって騒いで…』
「…」
『けんちゃん本当にどうにかして〜』
「無理だ」
そう、ここ数日間、常に万次郎が離れてくれない
集会の日以降、わたしには家にいる時以外はほとんど1人の時間がない
どうしても万次郎が一緒にいられない時は必ず圭くんが来るし、圭くんも万次郎並にべったりだし…
今こうしてけんちゃんと2人なのも万次郎がトイレに行っているから
…これじゃあ何もできない
「お待たせ〜」
「おー」
「じゃ、行こ?伊織」
その声に仕方なく立ち上がる
当の本人はご機嫌だけど、訳もわからずどこまでも着いてまわられるのは正直窮屈でしょうがない
『ねぇ万次郎、最近どうしたの…?
ずーっとくっついて…』
「えー?伊織も言ってたじゃんこの前。
ずっと離れないって」
『いや確かに言ったけどさ、それってこういう意味じゃなくて…』
「伊織は俺から離れたいの?」
『そうじゃないけど…』
「じゃあいいじゃん!」
『…』
…話が通じない
この前あんな風に言ったのがダメだったのかな、、、
私は万次郎にはバレないように本日何度目かのため息をついた