第14章 Choice
「お前…留学しねえってどういうことだよ!」
『そのまんまの意味よ。
私は行かない。』
「考え直せ!」
『考え直したところでもう遅いわ。
今日先方へ直接断りの連絡を入れた。』
「っ!そんな訳あるか!
今日お前は1日テストで…昼休みも俺と一緒にいたし放課後だってすぐ俺と…!!」
『給食時間。
職員室のパソコン借りてビデオ繋いでもらったの。
ちゃんと直接話した。』
「っ!」
マイキーくんはその言葉を聞くと息を呑み、悔いるような顔をして俯いた
その顔を見ても伊織さんは少し困ったような笑みを浮かべるだけで、自身の周りを囲む3人の顔をゆっくり見回した
『…勘違いしないで。
別に東卍の為とかみんなの為とか、そういうのじゃないから。
…みんながそんなことを望んでないことくらい私だってわかってる。』
「伊織…」
「…ふざけんなよ…なんで蹴りやがった、こんなチャンス、、、」
『圭くん…』
「お前は俺より馬鹿だ。」
『…それは心外だな…』
「本当に…馬鹿野郎っ…!!」
場地くんは絞り出すようにそう言うと、大きく息を吐き出した
それを優しい瞳で見つめる伊織さん
そんな彼女にドラケンくんと三ツ谷くんは眉を寄せ、真剣な表情で口を開いた
「…後悔しないのか?本当にそれでお前は、」
「本当にお前自身で決めたことなのか?」
伊織さんはその言葉に息を吐くと、ひとつ瞬きをした
次に顔を上げた時、その目には今までに見たことがないほどの火が宿っていて、黒い瞳がさらに艶やかに光った
『後悔なんてしない。
自分で決めた道よ。
…留学なんかしなくたって医者にくらいなってみせる。
私は将来に保証のない賭けをするよりも、今後悔しない道を選んだの…!
曲げるつもりはないわ!』
「っ!」
ドラケンくん達が息を呑んだのがわかった
…それほどに彼女の瞳は強く、人を圧倒する力が宿っていた