第14章 Choice
『…この前ご挨拶したばかりなのに、またこんな機会を頂いてしまってすみません。
早速ですけど…先日先方の方から、留学しに来ないか、と学校を通して連絡を頂きました。
アメリカの大学で、日本のカリキュラムよりも早く医学の方の勉強ができると、そう言われました。
医者になるのには最短ルートを辿ることができるルートです。』
アメリカ…大学…医学…
俺たちには次元が違いすぎるパワーワードが飛び出す
伊織さんはそんな俺たちの表情を見て少し口角を上げるとひとつ大きく息を吸った
『それで私、、、この話!お断りすることに決めました!!!』
「…は?」
なんとも間抜けな声が口から飛び出る
伊織さんはチラリと俺の方を見て微笑むと視線を前に戻し、追い討ちをかけるようにさらに口を開いた
『私、留学はしません!!
これからもこんな私ですけど、東卍の一員としてよろしくお願いします!!以上!!!解散!』
伊織さんは弾けるような笑顔でそう言い切ると、くるりと背を向けて下がった
未だ事態が把握できない俺たちは呆然と立ち尽くす他ない
「え?留学…しない?」
「蹴ったってこと…?」
千冬と2人で顔を見合わせる
俺達のその言葉を聞いて、近くにいた場地くんと三ツ谷くんが動く…と、誰よりも伊織さんの側にいたマイキーくんが彼女の肩を掴んで身体の向きを無理やり変えた
「伊織!!
おま…どう言うことだ!」
『万次郎、』
「行けって言ったよな!俺は!!」
『…』
「伊織!冗談はよせ!」
「流石に笑えねえぞ!?」
マイキーくんに両肩を掴まれ、場地くんと三ツ谷くんから問い詰められる伊織さん
…一体どうして、、、
「っ、テメェら!今日はとにかく解散だ!!
散れ!」
「「ッス!!」」
ドラケンくんの声で我に帰った隊員達は困惑の声を上げながらもいそいそとその場を去る
…境内の中がまばらになったところで、4人は再び伊織さんを囲う