第14章 Choice
「前の集会で言った通り!伊織は今まで東卍の脳として陰で俺たちを支え続けてきた!
今の俺たちがあるのは伊織の働きあってこそだ!!!」
マイキーくんの声が響く
そんな中、ドラケンくんの横に立ち伊織さんは一旦立ち止まってマイキーくんを見上げて苦笑いする
『…そんな風に言われたら照れちゃうじゃん。』
「事実だろ。」
『大袈裟よ。
もう…話辛くなっちゃうじゃない。』
「ハハッ、ま、頑張れ。」
『他人事だと思って…』
ドラケンくんと伊織さんはそんな会話をする
マイキーくんはそれが聞こえたのか、伊織さんの方を見てニヤリと笑った
「そしてこれまで!ずっと東卍のために尽くしてきた伊織だが、海外の学校から声が掛かった!
…留学のスカウトだ!!!」
「え…留学って、、」
「向こうから…?」
「すげぇ…伊織さんガチ頭いいんだな」
留学
その言葉に辺りはざわざわと騒めき、感心の声が上がる
暴走族である彼らとは無縁な言葉
その本当の価値は分からずとも、かなりすごいんだろうという憶測が飛び交う
「それに関して!伊織から最後に挨拶がある!!
今まで東卍を支えて来た誰よりの功労者からの言葉だ!全員心して聞け!」
マイキーくんがそう言うと、伊織さんはカツカツとブーツの踵を鳴らしながら彼の立っていたところまで階段を登る
穏やかで凪いだ表情をした伊織さん
留学という形で東卍を去る彼女は、最後に何を話すんだろう
最後の仕事、稀咲を追い出すという仕事を果たす前に、みんなの前でなんと言うんだろう
みんなが固唾を飲んで見守る中、凛とした声が神社に響いた