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ONE MORE CHANCE【東リべ】

第14章 Choice


「伊織は?
…そんな未来は嬉しくない?」

『…嬉しい。』

「…だよな。」




少しずつ目が慣れて、万次郎の表情がわかる
…万次郎は笑っていた

嗚呼、やっぱり万次郎には敵わない

いつもいつも欲しい言葉をくれる
私だけじゃない、みんなの背中をそうやって押してくれる
どうしても一歩踏み出せない時、その一歩を踏み切る力をくれる

ただの言葉なのに、万次郎の言葉にはそんな不思議な力がある





「…じゃあ、冷えてきたしそろそろ帰ろうか」

『うん、』

「上着取ったらそのまま集会行こう。
そしたら多分時間も丁度いいと思うし。」

『それがいい。
…けんちゃんにも連絡しとく。』

「ん、お願い。」





万次郎はそう言うと、私の手を取ったまま歩き出す
…あったかいなぁ





「伊織手ぇ冷た!」

『万次郎はあったかい』

「寒い?」

『大丈夫』

「寒かったら言えよ?」

『うん』





そんな会話をしながら私たちは学校を後にした

…決めてよかった
万次郎と話してわかった
私は間違えてない
正解だった

ちゃんと正解を選べてた



テストは答え合わせをする前に答えなんかわかってる
それじゃあ、未来はどうだろう?

未来は答え合わせをしないと正解なんてわからない
そしてその答えは、過去の問題の中に隠れてる

…だからこそ、今の万次郎との会話でわかった



今日の私はフルスコアだ



私は自信を持って顔を上げ、2人で同じ景色を見ながら神社まで向かった
それまでの道のりは、今までで1番明るくて、1番短く感じた
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