• テキストサイズ

ONE MORE CHANCE【東リべ】

第14章 Choice


公園まで少し走っていくと、やっぱり既に彼は居て、見覚えのある金髪が垣根の木から見え隠れしていた
入り口近くで少し息を整えてから彼の元へ向かう




『…お待たせ。
寒かったでしょう?』

「あ…急にすみません、」

『ううん、大丈夫。
…どうしたの?何かあった?』




私がそう聞くと、彼は何を言うでもなく私の顔をじっと見つめる




『?タケミっち?私の顔なんかついてる?』

「あ、いや…そういうわけでは、、、」

『よかった。』

「…あの、俺、、、やっぱり決めました。」




そう言うと、彼はひとつ息をついて光の宿った瞳を私に向けた
その光は真っ白で明るくて、世の中の汚さや理不尽さを知った26の人間のものとは思えないほどに綺麗だった

思わず私はそれに魅入って、彼の言葉の続きを待つ




「…タイムリープしてこっちに帰ってきて…ヒナに会ったんです。
…俺、未来ですごく腐っちゃってて…伊織さんに本気で全部任せるつもりでした。
でも…ヒナと話して思ったんです。」

『…』

「…俺、やっぱりどうしても諦められません!!」

『タケミっち…』




彼は服の裾をぎゅっと握り締めながらそう言う
…そう淀みなく言えるタケミっちはどうしようもなく眩しくて直視できない
頭でそう思っていても、それを口に出せる人間はそうはいない

…やっぱり君は強いね、私とは大違いだ

圭くんを死なせ、千冬くんを死なせた私
やり場のない感情に飲まれかけていた私に彼はそう言って本来の目的を思い出させてくれた




「だから…っ!だから!俺も精一杯頑張ります…!!
今度こそ!一緒に未来を変えましょう!!!」

『…ありがとうね、タケミっち。』

「いえっ!俺の方こそ…偉そうにすみません…未来であんなだったくせに、、、」

『そんなことない。
…それでも、ありがとうね、』




私はそう言って彼に笑顔を向けた

…きっと、笑えてるはずだ
大丈夫、大丈夫、

私なら大丈夫、

まだやれることはあるから、

未来を変える権利は誰にだってある
結果を知っているからこそ、正解を選びとってみせる
/ 848ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp