第14章 Choice
『…』
どれほどの時間そうしていただろう
吐き気は治らないけれど、胃の中はすでに空っぽで、ただぼうっとトイレの中で脱力しきっていた
…身体に力が入らなかった
ピコン
『…』
メールの通知を知らせる音が狭い空間に響く
のそのそと手を伸ばしてカバンの中からケータイを取り出すと、ディスプレイに表示されたメールを開く
【こんにちは。急にすみません。
花垣です。今から少し会えませんか?前に話した公園で待ってます。】
タケミっち…
『…行かないと』
この文脈からして、彼はきっともう公園にいる
寒い中長いこと待たせておくわけにはいかないし、さらに他でもないタケミっちだ
…無下になんかできない
私は重たい身体に鞭打って立ち上がると、顔を洗って外へ駆けた