第13章 Result
『まぁわからないことをこれ以上言っても仕方ないか…
…タケミチくん。
いくら私たちが君のせいじゃないって言ったところで、君の心の傷は癒えることはないんだと思う。』
「…」
『でも、貴方がこんな風になったのは…私が貴方を幹部へと推したから。
それは揺るぎない事実よ。
…だから次のタイムリープ。
君は本当に何もしなくていい。』
「え、」
『それが君にこんな運命を強いてしまった私なりの責任の取り方。
…前のタイムリープで圭くんとカズくんの命を優先し、稀咲のことを全て無視した。
そんな我儘を通した私はその責任を負う義務がある。』
「…」
『だからひとつだけ…過去に行き来する時だけ、力を貸して。』
伊織さんの手が座り込んだ俺の前に差し出される
…包帯だらけの手
脚にも湿布や血が滲んだガーゼが巻きつけられてボロボロだ
…なんで…なんでこの人はこんなにも強いんだろう
…彼女を庇って場地くんは死んだのに
目の前で撃たれて、そのまま彼を置き去りにしたのに…
自分の手で助けられたはずの命を、手の届く命を置き去りにして、、、自分で殺したも同然の状況だっただろう
それなのに…今の俺と同じくらい傷ついているはずなのに、どうしてこんなに強くあれるんだろう
俺は目の前の手を取り、ゆっくりと視線を上げた
『…』
「…」
彼女は、笑っていた
『…ありがとう。』
「…タケミチくん。
少なくとも僕は…僕は君に救われました。
僕を助けたのは伊織さんでも松野さんでもない。紛れもなく君なんです。
…何もできなくなんかない」
「ナオト…」
「…最悪の未来を変えてください!!」
ゴンゴンゴン!!!
『っ!』
ナオトがそう言うと同時に、重たい扉が大きな音を立てる
「…タケミチくん。これから君は留置所に護送されます。
そうなると伊織さんは愚か、僕にすら会うことが出来なくなる。
…今しかありません。」
「え、」
『大丈夫。私がいるから…向こうでもなんとかなるはずよ。』
「…行きますよ。
姉さんを…頼みます。」
ピリッ
俺の頭はまだどこか曇ったまま
でも、いくしかない
指先から電流が流れるような感覚
それを感じると、俺の身体はふわりと浮いて落ちていった