第13章 Result
「どういうつもりだ!!橘!!!」
「すみません、羽宮くん…」
「…裏切りか?」
振り返ると、一虎くんが伊織さんを背に隠すように前に出ていた
俺の両腕には初めて見る手錠
見た目よりもそれは遥かに重たくて冷たい
「…羽宮一虎さん、そして高宮伊織さん…貴方方2人は警察で保護させて頂きます。」
「っ…伊織、逃げるぞ…!」
一虎くんは伊織さんの手を取り、再び車の方へと踵を返す…が、
「っ!?伊織?」
『…カズくん、もういいわ』
「は…?」
『受けましょう…警察の保護』
伊織さんはそう言うと、一虎くんの手を払ってナオトの方へと歩き出した
一虎くんは呆然とその様子を眺める
『…よろしくお願いします。ナオトさん?』
「はい…ご協力に感謝します
…こちらにどうぞ」
『…』
「伊織…」
一虎くんが最後に小さくそう呼ぶけれど、伊織さんは振り返ることなく鈍く光る灰色の車に乗り込んだ