第13章 Result
「こっちのこともそうだが…お前熱酷かったぞ?
本当に大丈夫なのか?」
『ええ…それに、大丈夫じゃなくても今はそれどころじゃない。
…違う?』
「…」
「…あの…伊織さん…」
『…わかってる。
ごめんね、タケミっち。
…辛い目に遭わせたわね。』
「いえ…」
伊織さんは労られるようにそう言われると、俺の脳裏には千冬が撃たれた瞬間の映像が鮮明に浮かび上がる
…嗚呼、本当にもう千冬は居ないんだ
死んだんだ
「…ズズッ」
「…」
『…』
胸が締め付けられるように苦しくて痛くて、身体に穴がぽっかり空いたような喪失感が再び襲ってきて涙が落ちる
…伊織さんも一虎くんも…俺なんかより長く千冬と一緒に居たのに…それに場地くんやパーちんくん、三ツ谷くん、ドラケンくん…
遥かに俺よりも多くのものを失っているのに、2人の目は乾いたまま
…一虎くんは少し泣いた跡があるけれど、伊織さんの目は前しか見据えていなくて少し怖い
前の、ドラケンくんや場地くんを助けていた時の伊織さんとはどこか別人みたいだ
「…そういえば…伊織さんがさっき言ってた、、、それは違うって、どう言うことですか?」
「知ってるのか?柴の事…」
『ええ。
…彼はそんな子じゃない。
見栄っ張りで、弱虫で、どこか女々しいけど、人のことを想う心を持った優しい子。
…そんな子だった。』
…は?弱虫?女々しい?
そんなやつには全く見えなかったぞ…???
図太くて怖いものなしで豪快、そんな奴にしか見えなかった…
伊織さんの言葉に疑問しか感じない
『…12年って、やっぱり大きいんだね…』
「ああ。」
俺の反応を見てか、伊織さんは悲しそうにそう呟く
ある交差点を左折すると、一虎くんは俺に向けて口を開いた
「…タケミチ、お前に会わせたい奴がいる。」
「え…俺に?」
『ええ。
…私たちのもう1人の協力者。
彼を連れてきたのは千冬くんだった。
カズくんは黒龍を、千冬くんは稀咲を追い詰めていた。今から会う人と協力して、ね。』
「…誰、なんですか…?」
「…橘とかいう刑事だ。」
っ!!!ナオトだ!
千冬はナオトと組んでいたんだ…!