第13章 Result
「えっ!伊織さん!?」
「伊織!目ぇ覚めたのか!」
『ええ…っ痛!』
「大丈夫か?」
『大丈夫…』
聞き覚えのある2人の声で目が覚めると、頭に鈍痛が走る
肌寒さに身震いすると、自分が下着姿であることに気づく
身体に掛けられた上着を胸元で押さえて起き上がると、手足に応急手当てがされてて、ジクジクと痛む
「悪い、ずぶ濡れだったから勝手に脱がせた。
俺ので悪いが…とりあえずそこの紙袋ん中に入ってるやつ着とけ。」
『うん…ありがとう。』
…私あのまま倒れたんだ…
カズくんにそう言われて紙袋に入ってあったトレーナーを着込む
まだ少し混乱している頭
でも…ちゃんと12年分覚えてる
だけど…タケミっちは何でここに…?その記憶は全く頭にない…
「傷、応急処置はした。
お前のカバンもトランクに入ってる。必要ならコンビニにでも寄るが…」
『ううん、大丈夫。
カズくん色々ありがとう。
それと…ごめんなさい。』
「…いや、あれは仕方なかった。
俺の方こそ、ごめん。
…守れなかった」
『…カズくんは悪くないよ。
私が…』
「伊織…」
こんな傷なんて、どうでもよかった
…そんなことより…圭くんが…圭くんが、ここにいないと言うことは、やっぱりあの時彼は死んでしまったんだろう
もっと私が…私が強かったら
足手纏いになんかならなかったら
早く敵の行動の先を読んでいたら
私は傷の上から手のひらを握りしめる
爪が傷口に入って血が流れるけど、痛くもなかった
『…今、どうなってる?』
「…お前の記憶にある通り、場地は殺された。
助けられたのはタケミチだけ。
結局証拠は分からずじまい。
…お前が今1番知りたい情報はこれくらいだ。」
『っ!千冬くんも………そう…』
「…」
「…」
『…』
…なんとなく状況はわかった
的確に言葉を選びとって話すカズくんの言葉に無駄は少しもない
…千冬くんが殺された
そして助けられたのはタケミチだけってことはもうパーちゃんもペーくんも殺されたってこと…
…寝てる間にそこまで起こってたなんて
『…すぐに動く。
多分、向こうは既に動いてるはずよ。
これ以上後手には回らないわ。』
「わかった。」
カズくんはそう言うとアクセルを強く踏み直した