第13章 Result
「っ!伊織さん…!!」
一虎くんの車の助手席に座ると、後部座席に未来の姿の伊織さんが横たわっていた
彼女の傍には血のついた服やタオルが転がっている
『はぁ…はぁ…はぁ…ぁ、っ、』
「…ずっとそんな調子だ。
昨日の夜くらいからだから…かれこれ6時間は軽く超えてる。何度声をかけても反応すら無い。」
「っそんな…」
昨日の夜からって…もう朝日昇りきってる
…多分、前に言ってたやつだ
こっちの世界に戻ってからの記憶の更新…
12年分の記憶が一気に流れ込むんだ
その負担なんて想像すらできない
「出すぞ。」
「はい…」
後部座席で誰かの上着をかけられて横になっている伊織さん
白い顔をしながらも、額や首には汗が吹き出していて荒い呼吸を繰り返す
見えている手足は手当てしてあるけれど、擦り傷だらけで痛々しい
「…一体何がどうなって、、、」
「…お前が捕まってる間に、パーちんとペーやんが殺された。」
「えっ…」
「マイキーの命令だ。
恐らく場地を殺すよう命令したのもアイツだ。」
「そんな…稀咲じゃないんですか!!
だってアイツが…アイツが千冬を…!!」
「…」
そんな…マイキーくんが仲間を殺すなんてあり得ねえ!
だって、だってマイキーくんはあんなに仲間のことを想っていたのに…
「…いや、稀咲が殺せと命じていたのは伊織だけだ。」
「は?」
「逆にマイキーは伊織の殺害命令は出していない。
…あくまで稀咲の独断…暗殺だ。」
「っ!」
「場地と千冬はそれに気付いてた。
だから千冬は表でお前を支え、場地が裏で伊織を守ってたんだ。」
「そんな…」
「その上、三ツ谷も数ヶ月以上前から行方が分からねえ。
恐らくはもう…」
「…」
三ツ谷くんまで…
それに、千冬も一虎くんもドラケンくんは死刑って言ってた
…伊織さんの予想通り…いや、予想をはるかに上回るほどに事態は悪化している