第13章 Result
言われるがまま着いていくと、そこは稀咲が作ったというまたクソ高そうなホテル
目がチカチカする…
「まぁ座れよ」
「あ…はい!」
「時間作ってもらって悪いな。お前も座れよ、千冬」
「いえ…自分はそういう身分じゃないんで…」
「ハハ、相変わらず固いな…」
…稀咲鉄太
現東京卍會最重要人物の一人にして、総長代理
警察が総力を挙げて捜索しても尻尾さえ掴めない男
…コイツが本当にあの稀咲なのか?
想像していたよりも数倍人が良さそうで、まるで過去の稀咲、そしてナオトから聞いていた人物像と重ならない
と、稀咲がゆっくりと話し始めた
「オレらも随分長い付き合いになったよな」
「え、」
「東卍に入って12年…今でもあの時の仲間達でこうやって連んでられるなんて、思っても見なかった」
稀咲…
「意外なこと言ってるか?」
「あっ…いやっ、、」
不味い、確かにそう思ったけど……顔に出てたか…?
ゴクリと喉を鳴らすけれど、稀咲は気にした素振りも見せず、俺から視線を外してグラスを片手に持つ
「タケミチ、千冬…俺のことをどう思ってる?」
「え?」
「…恨んでるだろ?」
「っ、」
「…ちょうど12年前のこれぐらいの季節だったな…場地があんな身体になったのは…
…あれは全部、俺のせいだ」
「!」
急に何を…っ、
「血のハロウィンは俺が仕組んだ」
「…」
知ってるよ、知ってるけど…なんでわざわざ今、自分から…?
俺の疑問を知ってか知らずか、稀咲は酒のボトルを片手に口を開く
「半間を使い一虎を丸め込み、芭流覇羅という組織を作った。
そしてそれを東卍にぶつけた」
「…何のためにそんなことを?」
「…」
俺の後ろから千冬がそう言う
…稀咲はグラスに酒を注ぐ手を止めると、地面のある一点を見つめながらそれに答えた
「力が…欲しかった。賞賛されるだけの功績が…
俺がこの抗争を収めればみんなが俺に平伏す…
……必死だった」
「…」
「場地の身体があんな風になるとも…名前を出すのも懐かしいが、伊織さんがあんな大怪我を負うとも思わなかった…
…本当だ、千冬」
「っ、」
俺の後ろで千冬が息を呑んだのがわかる
そして稀咲は徐に立ち上がると、躊躇いなく頭を下げた