第13章 Result
『言葉では確かに私は君を推した。
でも、千冬くんは私が言わなくったって君を選んだと思うよ。』
「え、」
『そう思ったから、私はその背中を押しただけ。
だから私がタケミっちを押したことに特別理由はない。
…他でもない千冬くんの選択。
不安になるのはわかるけど、信じる理由としては十分すぎると思わない?』
「伊織さん…」
『だってほら…千冬くんが頼りになることはタケミっちだってもう身をもって知ってるでしょう?』
そう言って隣を見ると、目を潤ませて何度も頷くタケミっち
…本当泣き虫だなぁ
「…ありがとうございます…!
それと…血のハロウィンのことは本当にすみませんでした…!!
伊織さんは場地くん止めるように言ったのに…俺止めるどころか一緒に稀咲潰そうとしたり…他にも色々と…」
『ああ…』
確かに、そんなこともあったな…
『まあ、今だから言うけど…
確かに君はあの日全っ然ダメだったね』
「うっ…」
『まず乱戦だからって色んなとこに気を遣り過ぎ。
圭くんが死ぬのを止めるのに圭くん探すのは分かるけど、見つかんないからって手当たり次第に騒ぎの方に目やってたらダメでしょう』
「スミマセン…」
『それから、問題の解決の糸口が確立してないまま他の問題とごちゃ混ぜにしない!
自分も頭の中ぐちゃぐちゃなのに…自分から引っ掻き回してどうするの!』
「ハイ…」
私がそう言うと、タケミっちはみるみる小さく肩をすくめる
…まぁ私もそんなこと言いながら、あの時はなかなか冷静じゃなかったからな…
これ以上偉そうなことは言えないか
『…ってことで、2つ君にアドバイス。
ひとつ目は、第二の作戦を持って何事にも臨むこと。』
「第二の…作戦?」
『そう。
1番練り上げた作戦が上手くいく、それがもちろん理想だけど、初手が通用しないことなんて世の中ザラにあるわ。
私たちにとって1番いい作戦ってことは、逆に言えば相手にとって1番嫌な手ってこと。警戒してないわけがない』
「なるほど…」
『だから次よ。
2番手が1番大切なの。いかに迅速にそれを出せるか。
それでその勝負は大きく傾く。』
今回の件で言うと、圭くんを張るのが最初の作戦
それができなかったのなら、圭くんを襲うカズくんを張る
これが第二の作戦