第13章 Result
『…うーん…そうねぇ』
私はすっかり秋色に染まった空を見上げながら、先の幹部会の様子を思い出していた
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「壱番隊は、隊長代理制度を採択します。」
『わかったわ』
千冬くんから壱番隊としての回答の意思を聞くと、私はゆっくり笑みを浮かべて千冬くんを見た
「…で、誰にするんだ?その隊長代理」
『もちろんそれもこれから壱番隊を引っ張る千冬くん、そして隊長である圭くんが決めるのが1番いいと思うけど…』
「千冬、お前が決めろ。
俺はお前の選ぶやつなら何も文句ねぇよ」
「場地さん…」
千冬くんは再び俯いてしまう
…そりゃそうだ
しかも自分だけじゃない
一個隊全員のこれからを背負う、沢山の人の気持ちを考えないといけない大きな選択だ
…正解が何か、それは誰にもわからないけど、どうしようもなくそれを求めようとすると下を向きたくなる
その気持ちはわかる
でも、きっと彼の頭の中に浮かぶ人物はちゃんといる
千冬くんならちゃんとわかってる
…ただ、自信がないんだ
私はひとつ息を吸うと、沈黙の中に音を紡ぐ
『…1人私からも候補出してもいい?』
全員の視線が千冬くんに集まっていた中、ふとみんなが顔を上げる
そして隣にいたけんちゃんが私に問いかけた
「ん?候補?」
「…伊織、誰?」
万次郎からそう言われて、私は彼に向けて笑って答えた
『タケミっち、どうかなって』
「タケミっちを?」
『ええ。
ま、あくまで候補だし、参考までにね。
決めるのは壱番隊、だからあんまり気にしないでね?』
千冬くんに向けてそう言うと、彼は目を見開いて私を見ていた
…きっと千冬くんもタケミっちを選ぼうとしていると、そう思った
他でもない圭くんの一大事の時、彼の隣にいたのはタケミっちだったから
…過ごした時間や東卍との関わりの厚さなんか関係ない
大切なのは千冬くんが誰と一緒に歩きたいか、それだけだと思ったから
だから、千冬くんが誰を選ぼうと、それは誰も間違いだなんて言わない
私はそう言う思いを込めて、ニコリと笑ってみせた
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