第13章 Result
「伊織さん、」
『…急に呼び出してごめんね
ありがとう。来てくれて』
次の日、昨日の集会があった武蔵神社に私たちは集合していた
境内の階段に座って今来た彼を見上げると、隣の石畳をトントンと指差して言った
『まぁ、座りなよ。タケミっち』
「はい…失礼します」
律儀にそう断って腰掛ける彼ータケミっちは、なんだかモジモジしていてクスリと笑ってしまう
『ふふ、何でそんな緊張してるの?』
「あ、いや、、、昨日は興奮してそれどころじゃなかったけど…一晩経って考えたら……俺も幹部になったんだって…大変なことなんだなって思って…
…昨日の伊織さんの話聞いてたら尚更…」
『あー…』
タケミっちはそう言いながらポリポリと頭を掻く
…確かに、タケミっちからしたら急に予期なく出世して…驚くのも無理はない
「それに…」
『ん?』
「…幹部会の時、伊織さんも俺のことを隊長代理に推したって聞きました。」
『…』
「…何で俺を、、って、聞いてもいいですか?」
ヒュウっと、冷たい風が正面から吹き付ける
目を閉じてその風を受け、風が止むとゆっくりと目を開けた
『…聞いたんだ。』
「昨日の集会の後に千冬から…」
千冬くんめ…黙っておくつもりだったのになぁ
『ま、聞いたなら仕方ない。私も別に口止めはしてなかったし』
「え、俺聞いちゃダメでしたか?」
『いや、そういう訳じゃないよ。』
「そうですか…」
不安げに私の顔を見るタケミっち
そしてその顔を下に向けると、俯いたまま両手を握りしめて口を開いた
「…俺は…」
『…』
「俺は…血のハロウィンの時…何もできなかった。
…場地くんが死んでしまうことを知っていたのに…一虎くんが場地くんを刺すのも止められなかったし、場地くんが自殺しようとした時も、マイキーくんが一虎くんを殴り殺そうとしてる時も、足が動かなかった。
…こうやってみんなが生きてるのも…全部全部、伊織さんのお陰で…俺1人だったらきっと場地くんは…」
そう言ってタケミっちは震える手を握りしめたまま続ける
「…伊織さん、何でこんな俺を隊長代理なんかに推したんですか…?」