第3章 Contact
「うま!!これめっちゃ美味い!
伊織一口あげる!」
『ん、ありがとう。
…本当だ!めっちゃ美味しい!!
私の栗きんとんもあげる!』
「やった!」
「わらび餅も食うか〜?」
「いる!」
『いいの!?』
「おう。これも美味いぞ!」
「おばさん!どら焼き3つ追加!持ち帰りで!」
『まだ食べるの?』
「これはチャリ乗りながら食べる分!」
駅前の和菓子屋さんで少しお茶していた。
流石エマ。
どら焼きも栗きんとんもわらび餅も全部美味しい!
『ん〜!ごちそうさまでした!』
「じゃ、そろそろ行くか〜」
「んー」
けんちゃんと万次郎が自転車に跨り、私は万次郎の後ろに乗る。
キュッと服を掴むと、その手を取られて腰に回される。
「伊織、捕まってないと落ちるよ?」
『あ、うん。』
バイクの時は怖くてそれどころじゃなかったけど、ふと思うとこの体制はめちゃくちゃ近くて恥ずかしい。
「伊織?」
『っ〜!!!』
後ろを振り向いて余裕そうに笑う万次郎を直視できない。
バッと視線を逸らしてバクバクと波打つ鼓動を鎮めようとする。
…でも、密着する体から伝わっているかもしれない。
っ!どうか、気が付かないで!!!
私は目をキュッと瞑って顔の熱が冷めるのを待った。