第13章 Result
「一個いいか?」
『何?けんちゃん』
「いや、反対っていうか疑問なんだけどよ…千冬じゃダメなのか?
その隊長代理…
副隊長をそのまま務めて、そんな役果たしてもいいんじゃねえかなって…」
「まぁ、言われてみりゃ確かに…」
「俺は…」
みんなの視線が千冬くんに向く
私は鉄骨の上から飛び降りて、千冬くんの元に歩いていく
『もちろんその選択肢も大いに有り。
ただし…ここからは千冬くんと圭くんの意思次第。
千冬くんを副隊長として隊を率いさせるも良し、2人の任せたい人間に隊長代理を任せるも良し。
壱番隊のことだから、2人が決めるのが一番だと思う。』
「そうだな。
お前らが決めろ。」
万次郎もそう言って圭くんの背中を千冬くんの方に押し、2人で話すように促す
千冬くんは俯いたまま圭くんの言葉を待つ
「…千冬ぅ」
「はい」
「俺はどう転んだって今までみてぇに完全にお前らを引っ張っていくことはできねぇ。
…だから…お前が決めろ。」
「っ!」
「お前が俺の後を継ぐか、他に継がせてお前は俺の時みたいにそいつを支える道を選ぶか。
どんな選択をお前が選んでも、誰もお前を責めねえよ。」
「俺は…」
千冬くんは拳を握りしめてさらに下を向く
しばらくして彼の手からふっと力が抜けると、彼はゆっくりと顔を上げて圭くんの目を見た
そして少しだけ笑みを浮かべて口を開く
「…場地さんに変わって壱番隊を引っ張っていくのは…俺にはやっぱり荷が重いっス」
「そうか」
「伊織さん」
『…』
「壱番隊は隊長代理制度を採択します」
『わかったわ』
ーーー
ーー
ー
「隊長、代理…」
「それって…」
『場地圭介は前線を引く!しかし壱番隊隊長は場地圭介として残留!!
これから壱番隊は新たに指名される隊長代理!及び副隊長松野千冬を筆頭にこれから活動する!』
伊織さんがそう声を上げる
つまり…
「場地くんは辞めない!!」
「新生壱番隊の誕生だ!」
「壱番隊万歳!!」
「「オオオオ!!!」」
歓声が響く
それを満足げに見下ろす伊織さんと照れ臭そうに笑う場地くん
これが東卍の強さ
時に豪傑に、時に柔軟に姿を変える
だから東卍は組織としても強いんだ