第13章 Result
『…まずは…私の方から話す前に、壱番隊隊長、場地圭介から先に話をさせて頂きます。』
「おう」
一歩後ろに控えていた場地くんが伊織さんの隣に立つ
…場地くん…血のハロウィンの何よりの当事者だ
…この場で彼は一体何を話すんだろう
「俺は、ダチのために東卍を裏切った。
そして血のハロウィン、お前らと敵対して拳を振るった。
…最終的にはそのダチに刺され、ここにいる伊織を俺は刺し、伊織自身に救われた。
結果、あまりに軽い代償ではあるが、俺はもう怪我の影響で喧嘩なんかの場には二度と立てない身体になった」
「…」
「…」
やっぱり…後遺症は残ってしまったんだ
喧嘩ができない…つまり、激しい運動ができなくなったということだろう
各所から息を呑む音や嘘だという言葉が聞こえてくる中、場地くんは更に続ける
「決して短くはない入院生活の中、俺はずっと考えた。
考えて考えて抜いた結果、俺は東卍を辞めることを決め、幹部会でマイキーと幹部たちにその意思を伝えた!!」
「っ!」
東卍を…辞める…!?
「嘘だろ…」
「場地くんが?」
「そうなったら壱番隊どうすんだよ…」
「喧嘩できねえって…」
「後遺症、そんなにひどいのか…?」
隊員たちの心配するような、惜しむような声が聞こえてくる
…特に壱番隊の隊員たちは目に涙を浮かべる人もいる
その中には一つも場地くんの裏切りを咎める声はない
誰もが彼の身、そして東卍を辞めるという彼の意思を案じている
「だが!総長は俺を引き留め、伊織はある提案を俺にしてくれた…!!」
「提案?」
『…』
「俺はその案を受けることを決め、これからマイキーや伊織、そして東卍への償いをしていく!
それが俺の思いの返し方だ!!!」
場地くんはそう声を上げ、徐に髪を一束に纏めると片手に持っていたナイフでバッサリとそれを切った
その行動には伊織さんもマイキーくんも目を見開いている
「これは俺の覚悟だ!」
ニカリといつものように笑う彼は髪が短くなった分少し幼く見えて、マイキーくんたちは懐かしむような表情で彼を見つめていた