第12章 Hospitalization
ガラガラ
「伊織ー!!来た!」
『万次郎!ありがとう。』
「うん!」
「あーあー、伊織居なくなったら暇になるなー」
『毎日来るから大丈夫よ』
「勉強から解放されて嬉しいの間違いじゃね?」
「あ、確かに」
『ん?今なんて?』
「いや…何も言ってねえ…」
「伊織荷物これ?」
『あ、そうそう。』
「んじゃ行くかー」
そう言うと万次郎は私の分の荷物を全部持って扉の方へ歩く
病院の外に出るのも久しぶり
入院した時とは違ってもうすっかり季節は移ろっていた
風が冷たくてふるりと震える
『寒!』
「もう11月だもんな〜」
『ずっと暖房効いてた部屋いたから尚更寒い』
「ハハッ
ほら、手貸して」
『ん?』
万次郎が荷物を片手に纏めて空いた方の手を差し出す
その上に手を乗せると、万次郎にぎゅっと握られて彼のポケットの中に一緒に入れられた
「これで寒くない?」
『うん!あったかい…』
「よかった。
…伊織ん家にはエマとケンチンが行ってるって。」
『結局お言葉に甘えちゃったね…』
「いいって。これくらい。」
万次郎はそう言って笑うけど、やっぱり申し訳なさが滲み出てしまう
最近色々お世話になってばっかりだなぁ
『そうだ。
今日のお昼何が食べたい?帰り道スーパーあるから材料買って帰ろうか。』
「やった!
俺伊織の作ったオムライス食べたい!!
あの卵がふわふわのやつ!」
『オムライスね。オッケー』
その言葉を聞くと、万次郎は嬉しそうに笑った
スーパーで野菜と卵を買うとその荷物も万次郎が持ってくれて、結局私は家まで手ぶらで帰ることになった