第12章 Hospitalization
『よし!荷物はこんなもんかな…』
久々に私服を着て病室に残る荷物を纏める
長かった入院生活も終わりだ
朝日が気持ちがいい
絶好の退院日和だな
「オイ、ベッドの下!
忘れてんぞ」
『あっ!危ない危ない…
ありがとう、圭くん』
「おう!」
そうだ
昨日タケミっち来たから隠してたんだった
刺繍を終えてあとは仕上だけの特攻服
たかちゃんに届かないと…
圭くんは隣で勉強してて、いつもの丸メガネ姿
この入院生活で勉強も結構進んだ
千冬くんもそれなりに英語できるようになったはずだ
ガラガラー
病室の扉が開く音が響く
?
万次郎達が来るにはまだ早い気がする…誰だろう…
「圭介!!」
「げ!母ちゃん!?」
『あ、』
圭くんのお母さん…
わぁ!12年後に一回会っただけだからなぁ
懐かしい!
「またペヤングばっか食べてるって聞いたわよ!?
本当いい加減に…って、あら?アンタ勉強してんの?」
「そうだよ!」
「はぁ〜!信じられない!」
「だから出てけよ!」
「まっ!親になんでこと言うのこの子は!!
あら!伊織ちゃん!今日退院なの?おめでとう!」
『おばさん!お久しぶりです!ありがとうございます』
「もしかして圭介の勉強も伊織ちゃんが?」
「ああ…マジで死にそう…」
「あらあら!伊織ちゃんありがとうねぇ!!」
『いえいえ…』
「アンタ!あんまり伊織ちゃんに迷惑かけちゃだめよ!?」
「うるせーよ!」
圭くんとおばさんはそんなことを言い合う
…なんかいいな、こういうの…
「じゃあ私仕事だからもう行くわ。
ちゃんと先生の話聞くのよ!」
「わーってるって!!」
「伊織ちゃんもお大事にね!
何かあったらすぐ頼って!」
『ありがとうございます!』
パタン
『おばさん、元気そうでよかった』
「いっつもうっせーんだよ。
ガキじゃねえってんのに…」
『心配してるのよ。
…さ、もうそろそろ万次郎も来るだろうし、、、仕上げ仕上げ』
「…」
私は頭の中の雑念を振り払うように頭を振ると、カバンの中に荷物を詰めた