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ONE MORE CHANCE【東リべ】

第12章 Hospitalization


「伊織、落ち着いたか?」

『うん…ちょっとむせちゃった』

「ほらコレ、まだ飲んでねえから」

『ありがとう』












たかちゃんが差し出してくれた水を飲む

冷たい水が喉を通る感覚が気持ちいい












『あ…たかちゃんちょっと待ってて』

「ん?」












中庭からロビーへ続く道

そこに置かれた観葉植物の後ろで動く影に近づく













『ごめんね。驚かせちゃって』

「あ、」

『大きな声出しちゃったし、急に咳し始めたりして…びっくりしたでしょう?』

「いえ…」











フルートを貸してくれた女の子

まだ少しビクビクしてる












「あの…さっきの人たちって、、、」

『あー…あの人たちね、さっき言ってた私の仲間なの。
まぁ顔怖いし不良だけど、、、とっても優しくていい人たち。』

「そう、なんですね…」

『ふふ、驚いた?』

「はい…お姉さん不良とかと無縁そうだったから…」

『人は見かけによらないからね〜
こう見えて私も彼らと一緒のチームに入ってるの。』

「えっ!?」

『あはは、やっぱり驚くよね〜』














目をまんまるにして私を見つめる女の子

そりゃそうだ

さっきまで普通に話して楽器吹いてた同じ歳くらいの女子が不良だなんて、普通なら考えない












「お姉さんは…じゃあ怪我で…?」

『まぁ、そうだね〜
ちょっと肺が傷ついちゃって。フルート吹いたら大声出したりしたのが祟ったかな』

「肺って…!それなのに楽器吹いたりしたんですか!?
ダメですよ!!」

『あはは…まだちょっと早かったみたい』

「ちょっとって、、、」

『でもまぁ、楽しかったよ。久々に吹いて。
ありがとうね。』

「はい…」

『怖がらせちゃって、驚かせちゃってごめんね。
それだけ伝えたくて。』












私はそっと立ち上がってもう一度彼女の持つフルートを撫でた












『きっと上手になれるよ。
私は明日退院だけど、これからも頑張って。』

「はい!ありがとうございました!!」











私はひらりと手を振ってもう一度来た道を戻ってたかちゃんのところへ歩いた
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