第12章 Hospitalization
「うん、問題ないね。
予定通り明日の退院で大丈夫そうだ。」
『そうですか。』
「ただし、あんまり肺に負荷かけるようなことしちゃダメだよ?
完全に治るのはあと1週間くらいしてからだからね。」
『わかりました!ありがとうございます!』
「やんちゃもほどほどに、それじゃあお大事にね。」
『はーい』
パタン
診察を終えて診察室を出る
横から画像とか見たけど確かに問題なさそうだった
…にしても、あのおじいちゃん先生いい先生だったなぁ
ぼんやりとそんなことを思いながら病院のロビーを歩く
中庭近いし散歩して帰るか
点滴も取れてチューブも取れて身軽になった身体
鼻歌を歌いながら中庭に向かうと、聞き覚えのある音がする
…この音は…
〜♪
「…はぁ…全然できない…
こんなんじゃ…グスッ」
あの子…中学1年生くらいかな…?
中庭に着くと、脚にギプスをつけ、病院着を着た女の子が譜面と睨めっこしながら泣いていた
…楽器…フルートか…懐かしいな
『こんにちは』
「え、こんにちは…?」
『突然ごめんなさい。綺麗な音が聞こえたものだから…』
「いえ…」
『フルート、吹奏楽部?』
「はい…1年生で…初めてステージ出るからって練習してて…
足の怪我したけど本番までには治るから練習だけでもって思って…」
『すごい。偉いなぁ…
あ、私中学3年生なの。よろしくね。』
「あ、はい…」
『ちょっと見せて?』
「はい…」
女の子の譜面を貸してもらう
…有名な吹奏楽ポップス
連符が多くて少し難しいな…
『ちょっとフルート貸してくれる?』
「はい…」
〜♪
嗚呼、懐かしい
私もこの曲は吹いたことがある
2年前になるかな…もう、
案外体は覚えてるもんだ