第12章 Hospitalization
パタン
「…で、話ってなんだ?」
「…」
伊織が出て行ってから、マイキーがそう俺に問いかける
…寧ろ伊織がいなくてよかったかもな
そう思うと医者のタイミングの良さに少しだけ感謝する
「…昨日、リハビリしたんだ。」
「うん」
「普通に歩いたり走ったりとかは出来るんだけどよ、右脚が上がらなかった…
…多分探せばもっと動かないとこもあると思う。」
「…そっか」
マイキーはそれ以外に何も言わない
…きっと俺の言葉を待ってる
…マイキーはそういう奴だ
「それで…俺、東卍抜けようと思う。」
「…」
「昨日伊織とも少し話した。
アイツは抜けなくていいんじゃないかとか言ってくれたけど、色々考えて自分で決めた。
…俺はもう、喧嘩とか隊長とかは出来ねえ。
引退だ。」
死ぬはずだった俺を生かしたのは伊織だった
そして…
「場地…「だが!」
「…」
「だが、前にマイキーの言った…伊織を守るって話。
あれはちゃんとやる。
絶対守る。
これからは伊織を守ることに全力を注ぐ。
こんな身体になって…いや、こんな身体だからこそ、両立なんて出来ねえよ。
中途半端になんのは嫌なんだ。」
こんな俺に生きる目的を与えてくれたのはマイキーだ
この2人の為なら俺は喜んで死ねるし、なんだって差し出せる
俺は真っ直ぐにマイキーの目を見つめる
視線を正面から受けたマイキーは少し顔を下に下げて俺を睨むように見据えた
「場地…俺はお前にそんな風に思って欲しくて伊織を預けた訳じゃねぇぞ…?」
「…」
わかってる
わかってる、けど…
「伊織にも話したつったな。」
「ああ…」
「アイツはお前が決めたなら止めないと言った筈だ。
だが俺は違う。
俺はお前が決めてもそう簡単に認めてやる気はねぇ。
…お前が退院したら幹部会をやる。
それまでもう一度よく考え直せ。」
「…」
マイキーはそういうと俺の返事を待つことなく立ち上がって窓を開けた