第1章 Blanc
ー12年前
私は当時12歳、中学1年生だった。
「うぉー!カッケェ!!!
東卍の特攻服できてる!!」
「すげぇな!!伊織!三ツ谷!」
「「すげぇな」じゃねぇよ。
なんでも俺と伊織に押しつけやがって。」
『私はこれくらいしか出来ないからいいよ。
みんなが着るの楽しみ!!』
「よーし
じゃあ早速着替えて記念写真撮ろーぜ!!」
『私撮るよ!』
「おう!頼む!!
おら!行くぞ!マイキー!!」
「ん、」
話を振られてその場にいる6人の視線を集めた人物。
佐野万次郎。
通称無敵のマイキー。
急に話しかけられた彼は目の前のパフェを食べる手を止め、完成した特攻服に視線を移し、それから私に目を合わせた。
「伊織、いつもありがとう。
はい、これお礼。食べかけだけど。」
『え!食べていいの!!ありがとう!』
「はあ!?オイマイキー!!
てめぇそれ俺のチョコパ!!何ほとんど食ってんだよ!!」
「あれ?そうだっけ?」
『そうだったの!?ごめんけんちゃん!!
少ししか残ってないけど返す!!』
「いや、伊織はいいよ。
問題はマイキーだ!!」
「またマイキードラケンに怒られてら。」
「ハハハッ!いいじゃん楽しそうだし!!」
ー
ーー
ーーー
ーー
ー
『えぇ!?本当にここで撮るの!!??
道のど真ん中だよ!?』
「いーんだよ!」
『でも!』
「真面目だなぁ伊織は。
俺たちゃ不良だぞ?道のど真ん中だろうが海ん中だろうが関係ねぇ!!」
『じゃ、じゃあさっさと撮っちゃうから!
早く並んで!!』
「へーい。」
『いくよー!』
「あぁ!!」
『はい!チーズ!!!』
カシャ!
みんなが笑ってて、キラキラしてる写真。
インクの色は褪せていても、みんなの表情は全く褪せていなくて、むしろ今のわたしからしたら眩しく見えた。