第12章 Hospitalization
午後、万次郎たちが来ていつものように病院内を少し散歩したり話したりして過ごした
みんなが来るとすごく賑やかで、あっという間に時間が過ぎていた
窓の外を見るともう夕方
秋になって短くなった日がさらに時間の経過を早く感じさせ、私と圭くん2人だけになった病室はひどく静かだ
でも、決してそれは気まずさとかは無くて、心地の良い静寂の中、私は刺繍の手を動かし、圭くんはぼうっと窓の外を飛ぶ鴉を眺めていた
「…右脚が上がらなかった」
『え?』
ぽつりと
隣から声が零れた
圭くんの視線はそのまま外に向いていて、まるで独り言を呟くように言葉を落とす
「…リハビリ行った時、なんか腰の後ろが気持ち悪かった。」
『…』
「身体を捻ろうとしたら、左回りにうまく動かなかった。
…そして、右脚が上に上がらなかった。」
…圭くんが刺されたのは右の腰あたり
刺されたあとに動き回って無理な負荷を掛けたせいで、あの辺りの筋組織は完全に断裂してた
修復したとはいえ…やっぱり元には戻らない、か…
「…生きてるだけマシだとは思う。
だが、想像以上に動けねぇもんだな…って思ってよ。」
『…そっか』
「…こりゃ、喧嘩続けんのは無理かもなぁ」
『…』
圭くんは窓から天井に視線を移すと眉を下げ、一度ゆっくりと瞬きをするとそのままの調子で続けた
「…俺、東卍辞めようと思う。」