第12章 Hospitalization
「いや、結局一虎を留めたのは俺じゃねぇよ。」
「…?」
「マイキーから伝言預かってたんだ。
【お前を許す】って、【お前は東卍の一員だ】って。
それと、【伊織と場地が身体張ってまで何を伝えたかったのかちゃんと考えろ】ってのも」
『万次郎が…』
「マイキーが一虎をこっちに留めたんだ。
…場地、礼言うならマイキーに言っとけよ。俺はただ伝えただけだ。」
「わかった。
…ドラケン、それでも、、、ありがとうな。」
「…おう、」
圭くんがニカリと笑ってそう言うと、けんちゃんは少し照れたような笑みを浮かべた
…きっとカズくんは生まれ変わる
心の底から人を信じられなかったカズくん
不器用で寂しがり屋で、人から向けられる感情に人一倍敏感なカズくん
傷つくのが怖くて仕方がない彼の凍った心
それを溶かしていたのが圭くんだった
「…」
圭くんの表情を盗み見る
…彼にはカズくんを助けていたとか、カズくんにとってどれだけ自分が大きな存在だったかとか、そんなことは全く考えていないんだろう
そんな打算とか全く無しで、圭くんはカズくんの側にいた
純粋に圭くんはカズくんが大好きだったから
『10年後か…
みんなお酒が飲める歳になってるね』
「だな」
「なら一虎の出所祝いはみんなで酒盛りか!」
『ふふ、それがいい。
…みんな大人になったらどんな風になってるかな…』
…稀咲の問題を放置して挑んだ今回のタイムリープ
少なくとも東卍にとっていい未来はきっと訪れていない
でも、、、
せめて…せめてみんなが生きている世界
どんな形であれ、私たちみんなが1人も欠けることのない未来になっていればいい
前にいた未来ではいなかった圭くん
死刑囚となっていたけんちゃん
そんな2人の顔を見ながら心の底からそう願った