第12章 Hospitalization
「で、お前らさっき何隠してたんだ?」
『あー…さっきの?』
「ああ。気になんだろ、やっぱ」
『けんちゃんならいいよ。』
そう言ってベットの下に隠した紙袋を取り出す
『じゃーん!』
「ああ、なるほどな。」
『うん。たかちゃんに刺繍だけ頼まれたんだけどさ、やっぱこういうのって考えた人が言った方がいいじゃん?』
「へぇ、ってことはアイツが言い出したのか。」
『そうなの。
だからたかちゃんが言うまで私は黙っとこうと思って』
「そういうことか」
刺繍が途中の特攻服をたたみ直してまたベッドの下に入れる
…タケミっちが着てるの見るの、楽しみだな
「三ツ谷が仕立てて伊織が刺繍か…
俺らんとき以来じゃね?」
『そうね』
「あん時の特服もお前が刺繍したんだったか?」
『ええ。
少し服そのものも手伝ったけど、服自体はほとんどたかちゃんが一人で作ってた。』
「にしてもお前ら器用だよなぁ
俺絶対こういうチマチマした作業無理」
「俺も」
『2人がやってるとこ想像するだけで似合わないわね』
たかちゃんは雰囲気が柔らかいからいいけど、170越えの強面が針と糸持ってたら笑っちゃいそう
いや、絶対笑う
『ふふっ』
「あ、お前今失礼なこと考えたろ?」
『そんなことないもん』
「嘘つけ」
『本当だって〜』
ガラガラ
「お待たせしました!」
「お、タケミっちありがとな。」
「サンキュー」
『なんかこれだけ見てたらパシリみたいね
はい、お金。』
「いやいや!いいっすよこれくらい!!
てか多いです!!」
『だめ。
後輩からお金なんて取れないわ。』
「ならお前もそれしまえや。
女に金出させるほど俺らダサくねぇ。」
『そ?じゃあお言葉に甘えて』
「ん、
オラ、タケミっち」
「だから多いですって…」
「小銭出すのめんどいしそれで良いだろ。
釣りは手間賃ってことで。」
今日はタケミっちの前ってのもあるし、けんちゃんを立ててお金をしまう
昔は100円しか持ち歩いてなかったってのに
こういうとこ、けんちゃん2年ですごく成長したな…