第12章 Hospitalization
「…そうだ、伊織ちょっと頼みあんだけど」
みんな大分落ち着いた頃、たかちゃんがそう言って手に持っていた紙袋を漁る
『へぇ、
たかちゃんが私に頼み事なんて珍しい』
「悪いな、ちょっと最近立て込んでてさ」
『全然いいけど、何?』
「じゃあちょっとコレ頼みたいんだけど…」
『?特攻服?』
「ああ」
「あ?誰のだ?」
「あ!わかった!タケミっちだ!!!」
「マイキー正解。」
『そういえばタケミっち特攻服まだ無かったっけ。』
「そうそう。
だから作ろうと思って。」
『へぇ、良いじゃん。似合いそうにないけど』
「確かに
タケミっち不良っぽくないし」
「でもわざわざ三ツ谷が作るんか?
珍しい」
「アイツには最近色々救われたろ?
だからどうしてもアイツのは俺が仕立ててやりたかったんだ。」
たかちゃんはそう言いながらほぼ形の出来上がった布地を撫でる
…いつ見ても綺麗な縫い目
生地もちゃんと考えて選んでる
「とは言っても、、、最近ルナの運動会やら部活のコンクールやらが忙しくて…伊織、刺繍だけ頼めないか?」
『ええ、もちろん。
丁度入院生活暇してたところなの。』
「それなら良かった!
次の集会くらいを目処に考えてんだけど出来そうか?」
『余裕余裕。
入院患者の暇さ舐めないで』
「そうだぞ
俺なんか暇さえあれば伊織からベンキョーさせられっから早く退院したくて仕方ねー
もう治ったつってんのに医者が止めやがるから…」
『それを治ってないって言うの。
病院では医者の言うことは絶対。』
「チッ」
圭くんは唇を突き出してあからさまに拗ねる
…子供だなぁ
「あ、悪い、俺そろそろ買い物行かねぇと…」
「じゃー俺も着いていく〜」
「荷物持ちしてくれんの?」
「んー、たい焼き買ってくれるならいーよ」
「ハハッ、そうかよ」
『じゃあまたね、2人とも』
「帰るなよ〜俺またベンキョーさせられんじゃん」
「場地頑張れよ〜」
「生きろ〜」
そんな言葉を残した2人は帰っていった
それから私は刺繍を、圭くんは勉強しながら時間を潰した