第12章 Hospitalization
『あ、病室までは自分で戻れるので大丈夫ですよ。』
「本当に?」
『はい!車椅子自分で動かしてみたいんで!』
「じゃあ、気をつけてね。
何かあったらすぐその辺のスタッフ止めていいからね。」
『はーい!』
私はそう言って検査室から出る
…車椅子、ずっと乗ってみたかったんだよね
医者の時に研修とかで何度か乗ったことはあるけど、いい大人だったしそんなに面白いことは出来なかった
『…でも今なら、、、』
そう、不良と一緒にいる学生の今なら遊べる!
人がいないとこでちょっと遊んでみよ
そんな好奇心に胸を躍らせながら車椅子を漕いで行く
…車椅子からの視線とか、体制とか、、、実際やってみるとやっぱ違うなぁ
研修の時はこんなに人居なかったし…なんか新鮮
人が少なくなってきたところで一人でくるくる回ったり少しスピード出してみたり、車庫入れみたいにバックしてみたりする
思ったより面白いし、意外と小回りが効いて動きやすい
「あ?お前何やってんだ?」
『あ、』
声の方を向くと、そこにはいつものパーカーを羽織ったけんちゃんの姿が
…座ってる分、デカイな…
『…巨人じゃん』
「誰が巨人だコラ」
『いやマジで。
座ってるだけでこんな違うものとは…
今なら小人とか虫とかの気持ちがわかる。』
「そうかよ」
185センチの巨体
さらには米神に入ったスミと辮髪
…これくらいの視線から見上げたらマジで怖いな
「なぁ」
『ん?』
「ちょっと歩こうぜ。
俺押すから。」
『いいけど…』
「じゃあ行くぞー」
けんちゃんはそう言って私の後ろに回ると、ゆっくりと車椅子を押す
なんだか車椅子に乗っているとなんとも言えない不安感があってドキドキする
「何、お前怖いの?」
『なんで?』
「いや、なんかソワソワしてっから」
『そう?』
「ああ。
安心しろよ。なんかあったらお前抱えてすぐマイキーのとこ連れてってやるから。
つかこの距離ならすぐ守れるしな。」
『ふふ、ありがとう』
「おー」