第12章 Hospitalization
万次郎は黒曜石のような、真兄そっくりな目をしていた
ゆっくりと視線を上げ私たちの目を見ると、何かを振り切ったような、スッキリとした表情を浮かべた
「…一虎を許した。
お前ら2人に免じて、な。」
『っ!』
「!!!」
万次郎はそう言うと、穏やかに微笑んだ
…万次郎がカズくんを……
…それを聞いただけで、身体がふるりと震えて視界が潤む
「マイキー…」
「…場地、お前が東卍を抜けたのは一虎に与した訳じゃない。
一虎を連れ戻す為だったんだな。
…あの日、、、お守りを買った日に目指したチームを守る為に。
その為に1人で戦ってくれてたんだな。」
「…っ、、」
「伊織…」
『…』
「…場地を、、、一虎を助けてくれてありがとう。
お前のお陰で誰も死ななかったし、死なせなかった。
…あのままだったら、俺はきっと一虎を殺してしまってた。
…東卍を潰しちまってた、」
溢れそうだった涙をぎゅっと耐え、万次郎の瞳を見つめる
…万次郎
『…約束したからには、守らないと、ね!
ありがとう、万次郎。カズくんを許してくれて、東卍を守ってくれて…!』
「本当に、ありがとう。マイキー…
…あの日のことは俺も一虎も、一生背負っていく。
勿論今回のこともだ。」
「…うん。」
「…俺はこれからもずっと、マイキーと東卍の側にいる。
そして一虎の分も精一杯大切なものを守り抜く…!」
圭くんはそう言って万次郎の目を見つめた
万次郎はそれにひとつ頷くと、窓の外を気持ちよさそうに飛ぶ鳥に視線を馳せた
雲ひとつない秋晴れの空
大きな鷹が旋回しながら自由に空を翔んでいた