第12章 Hospitalization
「なぁ」
『ん?』
「…ありがとう、な。
その…助けてくれて。」
『…』
…ずっと言おうか迷っていた
確かに今俺が生きているのは伊織が庇ってくれたからだ
でも、そのせいで伊織は怪我をして死にかけた
「すまない」と謝罪すべきところだろうが、なんというか、、、
上手く言えないが、そう言うのは何か違う気がした
そして今、伊織の目を見るとそんな迷いが吹っ飛んで、気がつくと口から既に「ありがとう」という言葉がこぼれていた
『…うん。
圭くんも、ありがとう。
…生きててくれて』
「っ、」
『…謝らないでくれて、嬉しい。
今はもう、これだけでお腹いっぱいだね。』
「そう、だな…」
『今はこれだけでいい。
…難しいことはさ、明日考えよう。』
「ああ」
伊織はそう言って小さく微笑むと視線を天井に移した
俺もそれに倣って上を向くと瞼がゆっくりと落ちてきた
3日も寝てたってのに…ねみぃ
『…おやすみ、圭くん。
また明日』
「ああ」
『それから、、、バタバタしててみんな忘れてたけど…』
「ぅん?」
『お誕生日おめでとう。』
「ん、」
伊織が何か言ってる
俺はそれに適当に返事をすると、襲いくる睡魔に身を任せて抵抗することなく目を閉じた