第12章 Hospitalization
一生、忘れないだろう
忘れてはいけない
きっと定期的に思い出して後悔して、夢に出てきて、俺は苦しみ続けるんだろう
でも、それでいい
これから先、何度悔やんでも、苦しんでも、
それは当たり前の代償だ
この記憶が俺の中にあって、それが俺を苦しめている間は俺は自分を赦すことができる
きっと、これは俺に許された唯一の罰だから
ふと隣のベッドに視線を向ける
伊織はやはりあの顔のまま寝ていて全く動かない
『…』
「…」
そっと、
伊織の口元に手を伸ばす
微かに手に触れる息
柄にもなく安心してその手を戻そうとした
『…生きてるって』
「っ!」
『勝手に殺さないで。
…何回目よ、もう。』
「…起きてたのか」
『本当にさっきだけどね…あっやべっ』
「ブハッ!」
伊織は顔を浮かせると、バッと慌てて口元を拭う
口開けたまんま寝てたからな…
「お前ホント…そういうとこは変わんねーな」
『いやたまたまだし。』
「嘘つけって」
『本当だもん。あ、万次郎には絶対内緒ね』
「はいはい」
俺のその返事に満足気に笑うと、伊織はキョロキョロと周りを見回した
『夕方…みんな帰った?』
「おう
マイキーが出て行ってからエマも来てたぞ。」
『えっ!!起こしてよ〜もう!!』
「マイキーが起こすなってんだから仕方ねーだろ」
『万次郎め…』
恨めしそうに天井を見上げる伊織
…あまりにも素の伊織すぎて顔が緩む
会ったのも久々だったしな…